開業1年目の固定費の相場:税理士・会計・通信・複合機・社会保険まで

開業の準備では、設立費用や内装費に目が行きます。ただ、あとで効いてくるのは、毎月かかる固定費です。項目ごとの相場を並べ、従業員3名の会社の例で足してみます。
先に結論:給与と家賃のほかに、月20万円台がかかる
役員1名と従業員3名(給与総額が月100万円)の会社で、給与・家賃・仕入れを除いた固定費を足すと、月に約22万〜28万円です。最も大きいのは社会保険などの会社負担で、給与総額の約15%です。税理士・通信・複合機などの合計は、月7万円前後に収まります。数字は目安で、年商・業種・使い方で変わります。以下は、項目ごとの根拠です。
項目別の相場
| 項目 | 目安(月額・特記なければ) | 区分 | 条件・注意 |
|---|---|---|---|
| 税理士の顧問料と決算料 | 自計:年約30万〜56万円(月換算で約2.5万〜4.7万円)。記帳代行込み:年約42万〜68万円 | 各窓口の相場 | 年商1,000万〜3,000万円の帯。月1.5万〜3万円(自計)・2.5万〜4万円(記帳代行込み)+決算12万〜20万円 |
| 会計ソフト・勤怠・給与 | 約0.4万〜1万円(従業員4名) | 各窓口の単価から計算 | 会計2,000〜6,000円+勤怠1人300〜500円+給与1人300〜600円 |
| 法人携帯・光回線 | 約1.8万〜3.6万円(スマホ4台+MDM+光回線1本) | 各窓口の相場 | 端末代の分割(1台1,500〜3,000円)は別 |
| 複合機 | 約0.9万〜1.7万円(月300枚・カラー3割) | 各窓口の相場 | リース月8,000〜1.5万円+カウンター料金(モノクロ1〜2円、カラー10〜18円) |
| ホームページの保守・サーバー | 約0.5万〜1.8万円 | 各窓口の相場 | 保守は月5,000〜1.5万円(テンプレート型)。ドメイン・サーバーは年1万〜3万円 |
| バーチャルオフィス(使う場合) | 月1,000〜5,000円 | 各窓口の相場 | 本店を自宅にしない場合 |
| 社会保険など会社負担 | 給与総額の約15%(月100万円なら約15万円) | 公的機関の率(下に計算) | 東京の協会けんぽ・令和8年度の率。労災保険は別 |
| 法人住民税の均等割 | 年7万円(月約5,800円) | 各窓口の相場 | 標準税率(資本金等1,000万円以下・従業者50人以下)。赤字でもかかる。自治体で異なる |
社会保険など会社負担の計算
会社が負担する率は、協会けんぽの東京支部・令和8年度で、健康保険が4.925%(料率9.85%の折半)、子ども・子育て支援金が0.115%(料率0.23%の折半)、厚生年金が9.15%(料率18.3%の折半)です。合計は14.19%になります。40歳以上の方がいる場合は、介護保険の0.81%が加わります。雇用保険の会社負担は、一般の事業で0.85%(令和8年度)です。ここに労災保険(全額会社負担で、業種ごとに率が違う)が加わります。たとえば、標準報酬月額が30万円の方なら、健康保険・厚生年金・支援金で約4.3万円、雇用保険で約2,550円、会社の負担は月約4.5万円です。給与の約15%と覚えておくと、見積もりのときに役立ちます。都道府県ごとに健康保険料率は違うため、本店のある支部の料率で計算してください。
例:役員1名+従業員3名(給与総額 月100万円)
| 項目 | 月額の下限 | 月額の上限 |
|---|---|---|
| 税理士(自計・年商1,000万〜3,000万円) | 約2.5万円 | 約4.7万円 |
| 会計ソフト・勤怠・給与 | 約0.4万円 | 約1万円 |
| 法人携帯4台・光回線 | 約1.8万円 | 約3.6万円 |
| 複合機(月300枚) | 約0.9万円 | 約1.7万円 |
| ホームページの保守・サーバー | 約0.5万円 | 約1.8万円 |
| 社会保険など会社負担(給与の約15%) | 約15万円 | 約15万円 |
| 均等割 | 約0.6万円 | 約0.6万円 |
| 合計 | 約21.7万円 | 約28.4万円 |
※ 給与そのもの・家賃・仕入れ・広告費・交通費は含みません。役員は雇用保険の対象外のため、会社負担はこの例よりやや少なくなります。年商と人数で変わる目安です。
削れるものと、削らないほうがよいもの
削りやすいのは、複合機(月の枚数が少なければ、リースを使わず家庭用+コンビニ印刷も選べます)、通信(通話中心なら安い端末と回線)、ホームページの保守(自社で更新できるなら保守を外す)です。削らないほうがよいのは、税理士と社会保険です。届出の期限を落とすと、青色の特典を失うなど、固定費より高くつくことがあります。また、会計ソフトは、インボイスや電子帳簿保存法に対応していないと、あとで入れ替える費用が出ます。電子取引のデータは電子のまま保存する義務があります。ただし、前々事業年度の売上高が5,000万円以下の会社と、設立1年目・2年目のように基準期間のない会社は、検索の要件が不要です(国税庁)。
契約の前に確かめること
- 月額に、初期費用・端末代・工事費・解約時の費用が含まれているか
- 最低契約期間(リースは原則として途中解約できない契約が多い)
- 顧問料に、記帳・決算・年末調整が含まれているか
- 値上げの条件(人数や枚数が増えたとき)
固定費と売上の見方
固定費の合計を、粗利で割ると、「月にいくら稼げば足りるか」が分かります。家賃は、月の売上の10%以下を目安にする見方もあります(当サイトの目安)。固定費の見積もりは、各窓口の「連絡先なしの概算」で出せます。
出典(確認日 2026-10-03)
- 協会けんぽ 令和8年度 東京支部の保険料額表 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/assets/R8_13tokyo.pdf
- 協会けんぽ東京支部 令和8年3月分からの保険料率 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/shibu/tokyo/assets/R0803_1.pdf
- 厚生労働省 令和8年度の雇用保険料率 https://www.mhlw.go.jp/content/001692566.pdf
- 地方税法52条・312条(均等割) https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000226
- 国税庁 電子取引関係(電子帳簿保存法) https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/tokusetsu/01.htm
- 相場:当サイトの各窓口ページの目安(税理士・会計・通信・複合機・HP制作)
