会社設立後の届出一覧と期限:税務署・年金事務所・自治体に何をいつ出すか

会社をつくったあとは、届出ごとに期限も出す場所も違います。出し忘れて困りやすいのは、青色申告の承認申請と社会保険の届出です。期限の数え方と、出す順番をまとめました。
最初に決める2つの日付
届出の期限は、設立日と決算日を使って数えます。設立日(S)は、登記を申請した日です。国税庁の案内では「設立の日(設立登記の日)」とされています。1期目の決算日(E)は、設立のときに決める決算月の末日です。この2つが決まると、ほとんどの期限が日付になります。
最初の1か月に出すもの
社会保険(年金事務所):法人は、役員1人だけでも、健康保険・厚生年金保険の適用事業所になります。新規適用届は、事実が生じた日から5日以内です。社会保険は役員報酬の有無などで要否が変わるため、設立の直後に年金事務所か社会保険労務士に確認してください。
労働保険(労働基準監督署・ハローワーク):従業員を雇う場合は、雇った日の翌日から10日以内に、労働保険の保険関係成立届と雇用保険の適用事業所設置届を出します。
給与支払事務所等の開設届出書(税務署):給与を払う事務所を開いたら、開設から1か月以内に出します。役員報酬を払い始める日を、開設日として数えます。あわせて、源泉所得税の納期の特例の承認申請書を出すと、納付が年2回になります(常時10人未満の場合・任意)。この申請には期限の定めはなく、納期限は、1〜6月分が7月10日、7〜12月分が翌年1月20日です。
設立日から2か月・3か月の届出
法人設立届出書(税務署):設立の日から2か月以内に、定款などの写しを添えて出します。都道府県・市区町村にも、法人住民税・法人事業税の設立の届出が要ります。こちらは自治体ごとに期限が違うため、本店のある窓口で確認してください。
事前確定届出給与に関する届出書:定期同額給与のほかに、賞与のような決まった時期の役員給与を払う場合の届出です。設立の日から2か月以内とされていますが、支給の日などで期限が早まる場合があるため、使う予定があるなら先に税理士に確認します。
青色申告の承認申請書(税務署):期限は、設立の日から3か月を経過した日と、1期目の末日(E)のうち、いずれか早い日の前日までです。「設立3か月以内」と覚えると、1期目が3か月に満たない会社で間違えます。たとえば設立日が10月15日、1期目の末日が翌年9月30日なら、S+3か月は1月15日で、その前日の1月14日が期限です。期限を過ぎた事業年度は白色申告になり、1期目の欠損金の繰越しなど、青色の特典が使えません。
インボイスと消費税
消費税は、資本金1,000万円以上の会社は、1期目から課税事業者です(国税庁 No.6503)。資本金が1,000万円未満でも、取引先から適格請求書(インボイス)を求められることがあります。新たに設立された法人は、設立事業年度の末日までに登録申請書を出せば、設立の日から登録を受けたものとみなされる特例があります。ただし、免税事業者の新設法人が課税選択届出書もあわせて出す必要があるか、経過措置が使えるかは、取扱いが細かいため、税理士か税務署に確認してください。なお、2割特例は令和8年9月30日で終了し、3割特例は個人事業者のみで法人は対象外です(国税庁)。
1期目の途中から決算まで
棚卸資産の評価方法と減価償却資産の償却方法の届出は、1期目の確定申告の期限までです。出さないと、法定の方法になります。決算後は、決算日の翌日から2か月以内に、法人税・法人住民税・法人事業税・消費税の確定申告と納付をします。期限の延長は、特例の申請が必要です。
期限の数え方の注意
- 期限が土日祝日にあたるときは、休日の翌日が期限です(国税庁)。ただし、インボイスの特例は「設立事業年度の末日まで」で、その日が休日でも、その日までに出す必要があります。
- 8月31日の2か月後のように、応当日がない月は、月末日として数えるのが無難です(当サイトの目安。国税庁の記載例で確かめてください)。
- 個人事業から法人にした方は、個人事業の廃業や消費税の届出が別に要ります。期限は国税庁の案内で確認してください。
出し忘れたとき、何が困るか
届出によって、遅れたときの影響が違います。法人設立届出書は、遅れても後から出せますが、ほかの手続きの前提になります。青色申告の承認申請書は、期限を過ぎるとその事業年度が白色申告になり、取り戻せません。給与支払事務所等の開設届出書が遅れると、源泉徴収の手続きが遅れます。社会保険の届出が遅れると、保険料のさかのぼりや手続きのやり直しが出ることがあります。インボイスは、期限までに申請しないと、設立日にさかのぼって登録を受けられる特例が使えません。いちばん戻せないのが青色申告の承認申請書なので、最初にカレンダーに入れておきます。
出す順番の目安
1 登記が終わったら、社会保険の新規適用届(5日)と、口座の開設。2 給与を払い始める日を決めて、開設届出書(1か月)。3 設立届出書(2か月)と、自治体への届出。4 青色申告の承認申請書(3か月と1期目末日の早いほう)。5 インボイスの登録を決める(1期目末日まで)。6 1期目の確定申告の準備。日付が出る一覧は、設立後の時系列にあります。迷うときは、税理士に1回だけ面談して、届出のチェックを頼む方法もあります。
出典(確認日 2026-10-03)
- 国税庁 No.5100 新設法人の届出書類(令和8年4月1日現在) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5100.htm
- 国税庁 No.2502 給与支払事務所等の開設届出書 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2502.htm
- 国税庁 No.2505 源泉所得税の納期の特例 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2505.htm
- 国税庁 No.5211 役員給与 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5211.htm
- 国税庁 No.6503 基準期間がない法人の納税義務の免除の特例 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6503.htm
- 国税庁 インボイスQ&A(新たに設立された法人等の登録時期の特例) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/qa/11.pdf
- 国税庁 インボイス 令和8年度税制改正特集 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice-review/index.htm
- 日本年金機構 新規適用の手続き https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/tekiyo/jigyosho/20150311.html
- 厚生労働省 労働保険の成立手続 https://www.mhlw.go.jp/www2/topics/seido/daijin/hoken/980916_2.htm
- 法人税法74条(確定申告) https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000034
